国・地域別在住外国人女性

中国の女性

中国女性支援

人口 13 億 5,000 万人以上 
世界第 2 位の経済大国(2013 年) 世界最大の常備軍を有する 
義務教育期間は 9 年間だが、 12 年義務教育が普及している 
大学進学率 23% 
男女格差ランキング 69 位 
都市部における失業率 男性 7.6%,女性 9.0%(2000 年) 

 

中国人の被害者支援の実際 ― 講師・李 華さん

李 華さん 

平成 7 年から区の非常勤職員として約 20 年間、在日外国人の通訳と相談 業務に従事。多岐にわたり中国人を支援している。 

平成 7 年に非常勤職員として外国人登録係で勤務。その後外国人相談員の仕事を 10年間勤務しました。私が勤務していた区には 20,000 人以上の外国人が住んでいるので年間の相談件数は 1,000 件を超えています。 
 区に勤務し始めた当時、在日韓国人は中国人より 3 倍多かったが、いまは逆に在日中国人が 650,000 人、韓国人は 500,000 人となり在日韓国や朝鮮籍の方々(特別永住者)は高齢で亡くなることにより数が減っています。 
一方中国人の方は留学生、日本人の配偶者、永住者、会社経営者、調理師、技術実習生、帰国者など、来日数は年々増えています。 
30 年前、私が留学生時代には皆少しアルバイトをしながら勉強をしていましたが、最近の留学生は両親の仕送り金で勉強する人が目立ってきました。 
留学生の中には博士号を取るなど勉強して、大学に残って教授として仕事をしている人が全国で 100 人以上います。また、技能実習者も多くいますが、低賃金で多くの時間を割いて働くなど、日本で生活は苦しい状態です。
 


増えている見合い結婚、DV

国際結婚で日本人の配偶者として日本にいる世帯も増えています。幸せな家庭を築くというのはいいように聞こえますが、実際は見合い結婚も多くなっています。農村など地方では嫁が足りないので中国まで探しに来ているのです。このような人が 2000年から増えてきました。しかし実際、言葉が通じない、文化も分からないことが問題となります。今まで中国で生活していたため、中国人の習慣、考え方で日本人と接触するので、文化・習慣などの違いから摩擦ができて「言っても分からない」と男性からの暴力が増え始めています。 
役所に出勤すると、時々泣きながら私を待っている中国人やフィリピン人がいます。夜に夫の暴力を受け家出をしたものの、日本に親戚や友達がおらず行く場所がなくて、かつて手続きをした時の私を思い出して、一晩役所の前で私を待っていたのです。暴力を受け、とてもショックを受けていますが、保護されても、しばらくすると生活の不安や、国外の親や友達が夫からの脅迫電話を受け、結局夫の元に戻り、しばらくして再び暴力を受けることもしばしばあります。 


日本人の考え方、習慣の理解を求める

ひとり親が日本で子育てしながら自立することは勇気と自信が必要です。特に日本語のできない若いひとり親は日本の社会に溶け込むのは難しいです。彼女たちは、日本語ができなければ日本人とコミュニケーションをとれず、仕事を見つけづらいことや、また日本の習慣が分からないため、保育園の保育士さんや周りの日本人とトラブルが起こることもあります。自分の将来像が想像できないため、とても不安な状態にいます。 
彼女たちにとって、まずは日本人の考え方、習慣を理解することはとても大事です。また、日本生まれではないので、日本の制度がまったく分からないため、不安が多いと思います。支援者は、日本の全ての制度、出入国管理及び難民認定法(在留資格などの知識)、福祉、医療、税制、教育、住まいの基礎知識が必要だと思います。 


子どもたちには厳しい現状

日本には多くの中華料理屋があります。そのため、中国の調理師も増えてきました。調理師が来日後、その家庭の配偶者や子どもも来日します。彼らの子どもたちの多くは義務教育中です。親は夢を持って、自分の腕を日本人に紹介したいと来日しますが、子どもにとっては、中国に親戚やクラスメイトもいます。そんな楽しい生活を離れ、親の都合で言葉も分からない、友達もいない日本に来るのです。学校に行っても日本の学校生活に慣れることができない、日本語も分からないので厳しい現状が多いです。 
また国際結婚による連れ子の問題があります。中国の女性は、子どもを自分の全てだと思って、とても大切にしてかわいがるので、日本人の夫が疎外感を持ち、それが喧嘩の原因となり、離婚ということになります。 
連れ子がいる場合、夫と一緒のときは夫と仲良くして、夫がいないときには子どもを一生懸命かわいがるようにと言っています。それが連れ子と日本人の夫と仲良くするコツだと思います。 


「日本人でも中国人でもない」帰国者

平成になってから、帰国者が増えてきました。帰国者は一定の年齢になってから日本に戻るので日本語の習得が難しいです。彼らが私によく言う言葉は「自分達は日本人ではなく、中国人でもない」と。それは、彼らが日本で生活をしても日本語を話すことができない、日本の社会に溶け込めず外国人扱いになります。一方、中国に戻っても日本国籍ですから、中国でも生活がしづらいのです。寂しい帰国者たちは、中国にいる親族を全て日本に呼び寄せ、ある区では、一人の帰国者に 100 人を超える大家族がいるというケースもあります。 
 中国では孔子や老子の教育を受け、親孝行をしなければならないので、日本にいる老齢になった親の世話をしなければ、周りの人から指摘されるので、仕事をしながら親の介護をする方もいます。でも、手の届かない時があっても、日本の介護制度の利用が理解できないので、何回も介護制度を使うように説得をしました。 


「教育」と「共育」の違い

中国の教育と日本は少し違うので、たまにトラブルの原因になります。私は PTA にも参加してほしいと言っていますが、言葉の問題で誤解されたら困るし、怖いからと参加しない外国人が多いのです。中国では先生が責任をもって子どもを教育しますが、日本は先生と家庭が共同で教育にあたります。「教育」と「共育」の違いがあります。 
夜間中学のある区では、大勢の中国の方が勉強しています。中国では生徒が悪いことをすると、先生は親を呼ぶ習慣があります。 
こんなことがありました。ある先生が、お母さんに学校に来てほしいと言っているが、母親は子どもが悪いことをしたから先生に呼びだされたのだと思って学校に行きませんでした。日本では先生が親と一緒に進路の話し合いをするという習慣を説明したら、そのお母さんは翌日に学校に行ったとのことです。日本人の当たり前は外国人にとって当たり前ではない。このようなことを心に留めておいてほしいのです。 
東京では、上海、北京などの同郷会や中国人の貿易促進協会、全日本華人華僑総工会、女性交流会などなど、数十か所に民間団体ができて、その中での助け合いがあります。ここには様々な職種の人がいるのでお互いの知識を出し合って助け合いをしています。中国人が楽しむイベントも増えてきました。私も土日は楽しく過ごしています。 
3・11 の地震の時は帰国した人も多かったのですが、今はほとんど日本に戻ってきています。在留中国人の人口は、この 1 年間で 10,000 人も増えています。 

サイト内検索